学生からの質問に対して自分なりにきちんと答えているのに、「同僚のあの人は『話がわかりやすい』と評判なのに、自分は・・・」という方はいらっしゃいませんか?
それは、ちょっとした回答表現技法を身につけているかいないかの問題です。
実はたった2つのことを意識するだけで、誰でも非常に分かりやすい回答ができるようになりますので、今回はその2つのポイントについてご紹介します。
ただしその前に・・・。
2つのポイントのさらに前段階に、「結論から言う」というほぼ絶対的な原理原則が存在します。
あれ?どこかで聞いたことある・・・というか、たいていのキャリア支援課職員の方が普段学生に教えていることと同じですね(笑)
そうなんです。面接での受け答えであろうが、学生とのやり取りであろうが、コミュニケーションの大原則は決して変わりません。受けた質問に対しては、とにもかくにも結論から返す。余計なことは言わないし、背景情報は結論の後に言えばいいお話です。
ただ、これって決して簡単な話ではありません。学生からのどんな質問にもしっかりと結論から伝えられるようにするためには、多くの知識と訓練が必要です。
ではどのような技術知識が必要になるのか?
その2つのポイントをご紹介します。
ポイント(1)そもそも結論とは?
そもそも結論というのは、質問に対して最も伝えるべき返答のことです。
例えば「どうしたら面接で緊張しなくなりますか?」という質問を受けたと仮定してみます。あなたなら結論(=第一声)として何を答えるでしょうか?
回答の内容そのものは様々なものがあり得ると思いますが、「どうしたら?」と聞かれている以上、「これこれこうすれば」という表現が絶対的に必要な伝え方になります。「深呼吸をすればいいよ」とか「手のひらに人という字を書いて飲み込む真似をしてみてください」とかいう伝え方ですね。
もう一つの例も考えてみましょう。「エントリーシートを郵送するとき、どんなことに気をつけたらいいですか?」という質問には何を結論として答えますか?
これも具体的な内容そのものはどんなものでもいいのですが、「どんなことに?」と聞かれている以上、「紙が折れないように気をつけて」や「添え状にこういう言葉をつけることを忘れないで」という伝え方が必須です。
要は、今何を聞かれたのか?について疑問詞レベルで正確に把握し、その疑問詞に対してまっすぐ返すということです。それ以外のことは結論ではなく、その後の詳細説明で語るべきことになりますので、とにもかくにも第一声でキチンと質問の回答になるまっすぐな返答を心がけてください。
普段学生に指導していることと同じですよね!?
ポイント(2)瞬時に要約し、端的な表現で返す
先の質問例は非常にわかりやすい例を出しましたが、実際に学生から出されてくる質問の中には、複雑なものや場合分けをしたうえでの回答が必要になるものも多くあります。
しかし、その場合でも、最も端的な表現を結論として返していってください。
例えば、「面接で『うちは第何志望ですか?』と聞かれたら第一志望と答えておくべきですか?」という質問に対して、まず第一声で何を返したら良いでしょうか?
先ほどの記述を前提にすると、「べきですか?」と聞かれている以上、「べき」または「べきではない」というどちらかを明言することが必要だということになります。
しかし、この質問に関して言うと、第一志望と答えるべきか否かは正直ケースバイケースとしか言えないわけで、「べき」または「べきではない」のどちらかで断言してしまうと、回答そのものが間違いになる可能性があります。
このような時は、「自分が答えようとする内容を瞬時に要約し、それをできるだけ簡潔に返す」という技術が必要です。
例えば先ほどの質問では、本来あるべき回答は「多くの場合は第一志望と答えておくほうがいいけど、そこから『なぜうちが第一志望なの?』と聞かれた場合にどう答えられるか次第で云々・・・」というものになります。ただ、このような長い回答をダラダラと話してしまうと、たとえ内容や理屈自体は正しくても、学生の立場からすると「色々話してくれてるけどイマイチよくわからない」と思われてしまいます。
ではどうするかと言うと、「説明がつくなら、(第一志望と)言っておくべきだね。」と、まず宣言します。
これにより、
(1)条件によって対応法に分岐がある
(2)様々な対応がありうるけれども、原則としてはこれ
という2つのニュアンスを含む端的な表現を結論として伝えることができ、その後にさらなる詳細を伝えていきます。
聞いている学生の側は、自分が説明がつく/つかないのどちらの状態なのかによって回答を聞く際の集中のしどころをコントロールできますので、結果として自分が知りたいことをハッキリと把握できるようになります。
これが、「わかりやすい回答」という評価に繋がるんですね。
この「自分が答えようとする内容を瞬時に要約し、それをできるだけ簡潔に返す」というのは決して簡単なことではありませんが、日頃から「自分の言いたいことを一言もしくは端的に言うにはどう要約すれば良いか?」を考え抜くことで身についていきます。
毎日が勝負です。頑張ってください。
できる人の要約力 (中経出版) |
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